交通死亡事故の慰謝料2(母親・配偶者)

「母親・配偶者」が死亡した場合の,交通死亡事故の慰謝料については,以下の基準が各書籍に記載されています。

・赤い本 2500万円(※2400万円から増額,平成28年版より)
・青い本 2400万円~2700万円

※大阪地裁算定基準では,「一家の支柱」以外を「その他」として,2000万円~2500万円とされていて,母親・配偶者についての基準は定められていません。

赤い本では,「母親・配偶者」の死亡慰謝料の基準額が,平成28年版より2400万円→2500万円に増額されました。
(「その他」も2000万円~2200万円→2000万円~2500万円に増額されています)

これは,赤い本(平成28年)版の下巻(講演録編)の97頁以下「裁判例における死亡・後遺症慰謝料の認定基準」という記事に詳しい説明がありますが,実際の裁判例では,以前の基準よりも高い水準にあることから,修正された経緯です。

※※赤い本 「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準」(日弁連交通事故相談センター東京支部編)

 
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 (赤い本(2018)下巻99頁図2を基に,当事務所で作成)

 この分析は,「子供たちが成長して独立したり,ほぼ自立しているという年齢層の被害者」について,「母親・配偶者」の典型的な事例とは断定しにくい,という問題意識をもって行われた経緯があります。

 結果は,死亡慰謝料が旧基準の2400万円,新基準の2500万円より低くなるのは,70歳代,80歳代です。

 たとえば,下の図表の赤枠の通り,50歳代では,新基準の2500万円よりも高い死亡慰謝料(平均2667万円)が認められています。
hahat.png(50歳代の死亡慰謝料,赤い本H28版下巻,99頁) 
2400万円(2件),2450万円(1件),2500万円(3件),2600万円(1件),2650万円(1件),2750万円(1件),3000万円(2件),3250万円(1件),平均2667万円

60歳代では,60歳代前半では2500万円超が5件,2500万円が1件,2500万円未満が3件で,2500万円を上回っています。60歳代後半では,2500万円1件,2500万円超が1件,2500万円未満が4件(うち,2400万円2件)であり,平均では,旧基準の2400万円は上回りますが,新基準の2500万円には届きません。

以上のとおり,子供が独立して自立する年齢になっても,直ぐに母親・配偶者の死亡慰謝料が基準を下回るのではなく,2500万円を下回るのが60歳代後半,2400万円を下回るのは70歳代以降,というのが,赤い本(28年)下巻における裁判例分析の結果です。

加害者側の保険会社は,子供が独立する年齢になると直ぐに,母親・配偶者基準の適用排除を主張することがありますが,実際の裁判例は上記の通りですので,60歳代前半までは,2500万円基準超,60歳代後半でも2400万円以上の金額を主張して問題ないと考えます。

(分析/文責:弁護士法人 大阪弁護士事務所 代表 弁護士 重次直樹)

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死亡事故ついてはこちらもご覧下さい

●死亡事故について ●死亡事故の損害賠償 ●死亡事故の逸失利益1(労働逸失利益)
死亡事故の慰謝料1(一家の支柱) ●死亡事故の慰謝料2(母親・配偶者) ●死亡事故の慰謝料3(その他)

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